鋭いひとこと嚙みしめる芋ケンピ 佐川智英実
かけられた一言を嚙みしめているようにも、そんな一言を言ってしまわないようぐっとこらえているようにも感じます。(葉子)
独り居は飛んでる虫にも慰められて 徳富 ふみ
虫にちょっかいを出されて退屈さが紛れる感じでしょうか?なんかわかります。(権代)
窓を開けてもいつまでも出ていかない虫。誰かの生まれ変わりで、わざわざ私に会いに来たのかしら?なんて思う時があります。(佐川)
この寒空を仰いで白いため息 権代 祥一
白い息が目に浮かびました (徳富)
一人ぼうっと考え事をしているのでしょうか。ため息の後に吸いこむ空気も冷たそうです (葉子)
豆つつけども浮いて寄り合う 葉子
つつけどもという表現が気になりましたが浮いてより合う感じがいいと思いました。(権代)
美味しそうな豆をつかもうとするのに、なかなかつかめずにいます、豆が「浮いて寄り合う」の表現が素敵だと思いました。(田中)
転がって転がって笑い転げる 権代 祥一
春の斜面を草まみれになりながら転げて笑い合う、そんな微笑ましい様子が浮かびました。(葉子)
川底に村人去ってダム聳り立つ 田中 直心
記憶の底に眠っていた、渡哲也主演の映画「誘拐」のラストシーンが浮かんできました。句の力って凄いですね。(佐川)
本当は川底から去って行ったのでしょうが、川底に消えてしまったように作者は感じたのでしょうか?気になりますが、切なさがいいと思いました。(権代)
雨が降るしとしとしとと音もなく 徳富 ふみ
肌寒い感じがする不安な気持ちが表現されているように思いました。(権代)
すまして頬張る麩菓子の角っちょ 佐川智英実
すごく可愛い感じがしました。すまして頬張るのですが、それが麩菓子の角っちょ。大きなお菓子の少しの部分の小さな一部、すまして、平静を装いますがやはり恥ずかしい?でも負けないで可愛く角を少し食べます。句の中に気持ちの移り欲張ると頬が膨らむのですが、すましているところのコントラストが面白いと思いました。変わりを可愛く表現しているなと、思いました。(田中)
欲張ると頬が膨らむのですが、すましているところのコントラストが面白いと思いました。(権代)
麩菓子をつまむ様子がこんなに心をくすぐるなんて···どの言葉も可愛く感じます(葉子)
野良に訪ねる今日も返信がこない訳 佐川智英実
孤独感を猫と共有している感じが寂しさの表現としてすばらしいと思いました。(権代)
私もラインの返事が無かったり既読にならなかったら気になって仕方ないですが、我が家の野良猫に尋ねたりはしませんがよく話かけてはいますから共感しました(徳富)
春かおる風が似合う娘 田中 直心
なんて素敵な娘さん。きっとみんなが振り返るんでしょうね。(佐川)
都会の息子 遠い桜が咲く 権代 祥一
「遠い桜」という言葉に、離れて暮らす息子さんを案じる親心 (葉子)
お互いに元気で、夢中になれるものがあれば、それでいいのだと思うのです(佐川)
病む人を見続ける掛け時計 田中 直心
我が家も病気闘病中だった夫が居ましたから思い出して心に沁みました(徳富)
でたらめなはずのコーヒー薫る日 葉子
その日のイライラかコーヒーの淹れ方か、また別の理由で、でたらめの日に淹れたコーヒーが、予想に反し素晴らしい香りのものが出来た、そんな日に戸惑いながらも、やはり香りに満足している。
何かやな日が、急に素晴らしい日になった。戸惑いながらやはり嬉しい、そんな気がしています。素晴らしい日になりそうです。(田中)
夫逝きて1年過ぎても癒えぬ傷あり 徳富 ふみ
癒えぬ傷は旦那様そのものですね、癒えない傷は作者が立ち直ったときに消えるのでしょうね、旦那様も心配しています、きっと「早く立ち直れよ」と、頑張ってください。(田中)
漕艇場の川波に蕾ちらほら映る 田中 直心
(佐川)
伸びかけのトサカ赤々と揺れ 葉子
ひよこの成長過程、子どもの成長過程、何でも成長を見るのは楽しいです。自分の成長も。(権代)
ひよこを飼っているのか、それともケイトウの花が庭に咲いているのかな、、、作者の秘めた情熱が伝わってきました。(佐川)
春彼岸ふるさとの月に会う 田中 直心
どこからでも同じ月が見えるはずなのに、いつも違う月を見ているんですよね。同じ月は二度と見えないからいつもしっかり見ておこうと思いました。(権代)
(秋山)
羽化して何処へ 寝袋は畳まない 権代 祥一
羽化は幼虫から成虫になることですね。立派に成長した、あなたが育てたものは何処かへ行ったのでは無くて、独り立ちしたのだと思います。寝袋は親です、独り立ちした何かは、寝袋に感謝し畳まないで進んで行ったのですね。そう思います。(田中)
余韻が残る句ですね。ぺったんこになった寝袋に、今までごくろうさまと言ってあげたい。(佐川)
野良猫に今日も餌やり目で話す 徳富 ふみ
(佐川)
毒入り話咲かせて饅頭 葉子
まるで毒入り饅頭を食べながら話しているような錯覚に陥りました。毒のあるプレゼントは受け取らなければ、送った人に戻り、送った人のものになります。受け取り拒否しましょう。(権代)
人のうわさ話は楽しいものですが、じわじわと言葉の毒は体に回っていきます。世の法則を恐ろしくユーモラスに表現していて見事です。(佐川)