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第15回 選句結果 令和6年10(赤字は特選)

   

待ち続けてた洋裁バサミ 錆びても切れる  権代 祥一 

〈洋裁バサミ〉を待ち続けるという状況はやや不思議で、しかもそれが新品でなく〈錆びて〉いるというのは更に不思議。そんな不思議な魅力に惹かれた。また、これは作者の意図したことではないかもしれないが、一字空けが鋏による切断を思わせて効果的だと感じた。(西生)

ずっと持ち続けてた洋裁バサミとの絆がたとえ錆びたとしても切れる状態を保っているのでしょうか?長い繋がりと信頼の成せる技と教えられました。(田中)

高齢の人が手際よく動いている動画をよく見ます。表面は錆びていても内側は切れ味鋭い人に憧れます。(佐川)

申し訳なさと心配を覆す切れ味に心が引きつけられる感じ、いろんな思いがあるようで、覚えておきたい句だなと思いました(葉子)

 

 

 

些細な文(ふみ)でまだ揺れている       田中 直心

わかるな~。短い文だから、なおさら気になる。きっと相手は何も考えてないんだろうなあ。(佐川)

 

        

 

赤トンボ群れ飛ぶ道をシニアカーで行く  徳富 ふみ

〈で行く〉がなければ定型に収まるのだが、あえて字余りにしたことにより、のんびりと移動している雰囲気が出たと感じた。(西生)

読ませて頂いて、綺麗な景が浮かびました。飛ぶ赤蜻蛉の群れと進むシニアカーの対比の中に明るさと、シニアカー

に乗っている、赤蜻蛉を見ながら笑顔の素敵な女性の景が、写真か絵画の様に浮かびました。(田中)

穏やかな情景の句ですが、作者のいつまでも前進したい思いを感じました。(佐川)

 

         

 

エアコンと口開いたまま眠る    葉子自分もよくある自堕落な図  (権代)

まさしく、夫が夏も冬もこれです。(佐川)

      

 

 

うつむいた百合は美しい女(ひと)     佐川智英実

百合は確かにそう見えるところがいいですね。(権代)

 

 

 

秋なのに半袖素足の  川遊び      田中 直心 

最近まで、ホットカーペットの上に扇風機がありました。(佐川)

(葉子)

 

 

クッションの隙間埋めて埋もれてクラゲになる日   葉子

「クッションの隙間/埋めて埋もれて/クラゲになる日」という八七七のリズムで読んだ。束の間の幻想や夢の中で

〈クラゲになる〉わけではなく、一日中クラゲになっているという点に独自性を感じた。(西生)     人間をダメにすると言われるビーズクッションと一日、そんな日もたまにはいいですよね。(佐川)

 

 

 

自転車貰って さあ、どこへ行く?     権代 祥一

自転車が大好きなのでワクワクします。(佐川)

        

 

 

老婆と猫慰め合って生きている       徳富 ふみ 

慰め合って生きている、お婆さんと猫です、お互い助け合いながら、支えながら、生きています。この句から、生前の母のソファーに、いつも猫のぬいぐるみがあったのを思い出しました。実家の場合は、猫・父・母の順に逝ったので、きっと母は、父なき後は、ぬいぐるみの猫を大事にしていたのだと、この句から気付かされました、寂しい思いをしていたんですね。今更ながら「ごめんなさい」です。(田中)

 

寝転べば足裏に残る夏       佐川智英実

砂? 泥? 水? 裸足の感覚が共有できる感じがいいです。(権代) 

草、砂、畳、海――裸足に触れた様々な物の感触が、寝転んだ拍子に蘇ってきたのだろう。「ねころ」「のこる」で

さりげなく韻を踏んでいて、音読すると気持ちいい。(西生)          

素足になって夏を思い出す様子が浮かびます。清々しい句だなと思いました。(葉子)

 

       

被害者だけが両手を使ふ   西生ゆかり

両手で顔を覆う姿に涙が見えるいい句だと思います。(権代)

(葉子)       

 

 

心躍って夢の跡     葉子

もう一つ言葉が欲しいけれどこれだけでいい感じだと思いました。(権代)

           

 

真面目に生きた男の深爪     佐川智英実

まじめな人剤からおめでたい人財へというコラムを書いているので、まじめをいろいろと考えさせられます。(権代)   

〈生きた〉と過去形になっているということは、既に生きていないか、人生の終盤に差し掛かっているということなのだろう。〈深爪〉が男の真面目さを物語るとともに、かすかに自傷行為を思わせる。(西生)

 

 

傘差して猫見に行けば留守     西生ゆかり      

私も同じ体験しています(徳富)

期待するといつも空振り、無欲になりたい(佐川)

 

 

月から兎バンジージャンプ    田中 直心

月の兎も飛び出したくなりますね。しかもバンジー!素敵です。(葉子)

 

 

 

話しかけるな餃子になるぞ   西生ゆかり     

うまい餃子になればなお可ですね。黙って焼きます。(権代)

楽しい句ですね。耳も口も餃子のように閉じて、無心になりたいのです。(佐川)

耳の心(?)の声でしょうか、餃子になりたいとき、ありますね(笑)(葉子)

 

 

お彼岸過ぎの静けさ 墓苑に一人   権代 祥一

目に浮かぶ情景です(徳富) 

お彼岸あとの静けさに一人きりでいる、寂しさも感じますが、静けさを感じ、故人とゆっくり話し合える、そのほうが故人も喜ばれているのではないでしょうか?(田中)  

 

 

 

好きだとかエイプリルフールだけの嘘  佐川智英実

毎日エイプリルフールだったら?とかいろいろと考えてしまいました。嘘でもその方が絶対に楽しいと思います。嫌いだとか無関心でいられるより絶対にいいです!!(権代)

 

 

 

いいですね泣ける人は遠くて    西生ゆかり   

(葉子)

 

 

生きにくさ抱えていても人は生き    徳富 ふみ

人はそれでも生きていくと思います。何を抱えていようが、生きようとしている人には何か希望が、目標があると思います。あの吉田松陰の言葉に「夢なき者に成功なし」の言葉があります。夢を持ち生きたいものです。(田中)

 

 

太陽に追い出され田をあとにする     佐川智英実

暑い感覚が伝わってきます。(権代)

 

 

 

次はいいとこ行きさんよ 棺を閉じる   権代 祥一

優しい方ですね。亡くなった方も喜んでおられるでしょうね。(徳富) 

次はいいとこ行きさんよ、の言葉は泣けますね。私も近親者の棺を閉じた経験はあります、つらいです「行きさんよ」は泣けますとても気持ちがこもった言葉ですね。(田中)

 

   

次回の投句の締切は一月十日です

©2022 自由律句会 幸せます。Wix.com で作成されました。

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